ちょっと絡みがねちっこくて反ワク以外の人からも若干引かれているwakuwaku3(@covidacc)がh-indexでマウントを取っていました。
wakuwaku3(@covidacc)「私は先生よりh-indexは高いです」
※最近引用RTに気を遣う帝京大学ちば総合医療センター萩野先生
相手に通知が行かないようにされています。
※aist(産総研)の伊藤民武氏へのwakuwaku3のツイート1
※scopusでの伊藤のh-indexを調べた人
※scopusにおける伊藤のh-indexは39
※wakuwaku3のh-indexマウントに盛り上がる皆さん。
h-indexとは
ググって一番上に出てくる九州大学附属図書館の説明を見てみましょう。
では、『h-index』とは何か、ということを最初にご説明します。
h-indexは、論文の被引用数に基づいて算出される、研究者の評価指標の一つです(h指数ともいいます)。
h-indexを考案したHirschは以下のように述べています。
A scientist has index h if h of his or her Np papers have at least h citations each and the other (Np – h) papers have ≦ h citations each.*1
つまり、
ある研究者が発表した論文のうち
「被引用数がh回以上である論文がh本以上あることを満たす最大の数値h」
がその研究者のh-indexになります。
例えば、、、10回以上引用された論文が10本ある研究者の場合…h-index:10
となります。
*1 E. Hirsch. An index to quantify an individual’s scientific research out-put. Proc Natl Acad Sci, 102(46):16569–16572, 2005.
h-indexとは?九州大学附属図書館 https://guides.lib.kyushu-u.ac.jp/c.php?g=775035&p=5558116
さて、他にも研究者の評価指標がある中で、h-indexを使うメリットとは一体何なのでしょう?
以下、二人の研究者の評価を例に考えてみましょう>10回引用された論文が10本ある研究者A
>100回引用された論文が1本と、一度も引用されていない論文が9本ある研究者Bどちらも総被引用数は100で、総論文数は10、となります。
ですが、この二人の研究者に対して、同じ評価をするのは違う気がしますね…。そこで、二人の研究者のh-indexを算出してみます。
>研究者A…h-index:10
>研究者B…h-index:1数値を見ると分かると思いますが、発表論文数が多いだけ、被引用数が多い論文が一つあるだけでは、h-indexの数値は高くなりません。
被引用数の多い論文を多く発表している研究者のh-indexが高くなるのです。つまり、
h-indexは研究の「質」と「量」の両方を考慮した指標なのです。
(従って、上の例では、被引用数の高い論文が一本だけのBより、一定の評価を受け続けているAの評価が高くなります。)
また、算出方法も複雑な計算式があるわけでなく、非常に簡単であることも、メリットの一つでしょう。
しかし、h-indexも良いところばかりではありません。
h-indexの長所 九州大学附属図書館 https://guides.lib.kyushu-u.ac.jp/c.php?g=775035&p=5558116
次のBoxで、h-indexの短所(注意点)について簡単にご説明します。
なるほど、この長所の部分を読むと先ほどの盛り上がっている人たちの理由は分かります。
しかし短所もあるようです。見てみましょう。
それでは、h-indexの短所(注意点)をお話しします。
いくつかありますが、特に以下3点に留意してください。
- 研究期間の長い研究者に有利
h-indexは、何年たっても減少する、ということはありません。
なので、研究期間の長い研究者の方が、必然的に論文数は多くなりますし、被引用数も年を経ると増えるので有利です。
逆に、研究期間が短く若い研究者は、まだ発表論文数も少なく、被引用数も少ないので不利です。- 数値がデータソースに依拠する
h-index算出元のデータとなる被引用数は、様々なデータベースで調べることができます。
しかし、データベースによって雑誌の収録基準(収録内容)は異なります。
つまり、どのデータベースで調査を行ったのかによって、h-indexの数値が変化するのです。- 最大(上位論文)の被引用数が考慮されない(数値が論文数に依存する)
例えば、1000回引用された論文が5本ある研究者と、100回引用された論文が5本ある研究者がいたとします。
ここで、h-indexのみで評価してしまうと、両者のh-indexは5と、同じ評価になってしまうのです。
このような場合では、h-indexでは詳細な情報が欠落してしまう、という問題が発生します。他にも、、、
・共著者情報が考慮されない
・分野間の比較ができない
(医学分野などでは高く、工学・数学など一部の分野では低い、という傾向があるため)といった短所が挙げられます。
結局、研究者の評価指標(今回の場合h-index)は、どれも長所と短所を合わせ持っています。
なので、h-indexはどういう指標なのか、きちんと理解をしてから活用することが大切です。
それでは、次のページから、h-indexの調べかたについてご説明していきます。
h-indexの短所 九州大学附属図書館 https://guides.lib.kyushu-u.ac.jp/c.php?g=775035&p=5558116
・分野間の比較ができない
医学系や疫学の分野の専門家を名乗っているので、その領域の人なのでしょう。
そもそも伊藤氏(応用物理学)とは研究分野が違うので、上述のh-indexの短所に記載の通り、単純にh-indexでは比較ができません。
また、これも書かれていますが医療・医学系は基本的にベースが恐ろしく高い傾向にあります。
kjさん、惜しい!”どうしてああなった”→高くなる傾向があるからです。
・数値がデータソースに依拠する
さっきのkjさん、またまた惜しいところまで行っていましね。
“scopusとgoogle scholarで結構違うんですね”→データソースに依拠するんですよ。
wakuwaku3がどのh-indexで伊藤氏より高いと言ったかはわかりません、がちょうどいいh-indexの勉強になりましたね。