コロナとは直接関係は無く本ブログの趣旨からは脱線しますが、医クラとSNS(というかTwitter)の関係を考える上で興味深い事例の為まとめておきます。
※2023.04.29追記=======
ややこしいですが2023年4月にノーマスクで宴会して炎上した日本外科学会はこちらです↓
=====※2023.04.29追記終わり=========
騒動の概要
2023年度第53回日本心臓血管外科学会学術総会(会期:2023年3月23日(木)~25日(土))2にて開催された「学術総会企画1:チームWADA企画 銀河系最強の外科医は誰だ? Twitter大好き心臓外科医が生バトル」において、学会参加者ではなく、また当該企画にも参加していない医クラについて企画登壇者(医クラ)が言及、さらにその内容を学会関係者(医クラ)がリアルタイムでTwitter上にツイートしたところ、言及された本人がそのツイートを発見しTwitter上でトラブルに発展した。
経緯の詳細
発端①:2023年3月23日 チームWADA企画 「銀河系最強の外科医は誰だ? Twitter大好き心臓外科医が生バトル」
2023年3月23日(金)、2023年度第53回日本心臓血管外科学会学術総会において、チームWADA34企画 「銀河系最強の外科医は誰だ? Twitter大好き心臓外科医が生バトル」が開催される。
告知を行うチームWADAの月岡氏5
当該企画の様子は、関係者によってリアルタイムでTwitter発信された。6
終了後の様子。7
発端②:2023年3月23日 池野友基氏によるリアルタイムツイート
セッション中、登壇者の発言は逐一池野友基氏によってTwitterで発信された。
池野氏のアカウントは2万フォロワー程を誇る。
怒涛のツイートで、関係者によって画像等でまとめて再RTなどが行われた。
ついでに、並行してTwitterスペース上でも上記TwをしたOnyo氏と月岡氏で副音声解説が行われた。(2023年3月時点でまだ録画は聴ける模様。問題となった雑草先生氏の部分は1:15:20~あたりから。マイクが遠いので登壇者の音声は良く聞こえない)
この後の炎上の問題となったTwを下記に示す。8
紙谷先生「雑草外科医のイキり方は新しい風だと思う。論文が王道だけど、そういう形があってもいいじゃないか」
https://twitter.com/IkenoYuki/status/1638794038399864832
経過①:2023年3月24日 雑草外科医こと後藤徹氏に見つかる。
2023年3月24日、言及された雑草外科医こと後藤徹氏9に前掲のOnyo氏ツイートが見つかる。尚、後藤氏のアカウントも池野氏と同じく2万フォロワー程を誇る。
雑草氏の言及ツイート(現在は削除済み)10
心外若手や心外志望が見たら引いてしまうんじゃ無いかと思う発言の数々
心外の世界は厳しい
私は何も言いません😒と言うか、私に言及する必要ありました?ディスる必要あります? 心外だけでまとめてくださいよ!
https://twitter.com/multitransplant/status/1639069752860483587(削除済み)
他科他施設で全く関係のない教授が学会で発言される点、それを逐一拾いツイートをされる先生方に疑問を感じた次第です。実際に私を知るわけでも同僚でもなく師弟関係でもない紙谷教授や池野先生に肯定も否定もされる所以はありません。私は学会参加者ではないですから。
同上(削除済み)
前掲池野氏のTw、特に「イキり方」という言及の仕方、また雑草氏は当日の学会には参加しておらず、セッション関係者との関係もない中での出来事だったことが判明。
経過②:2023年3月25日 ”旭川学会の総括”Tw
2023年3月25日(土) 雑草こと後藤氏が前掲の実況Twをした池野氏をブロック。その後、池野氏が「旭川学会11の総括」として雑草氏からのブロック画面画像をツイート。12
”医師として王道でブロックされました🤣”
”心外クラの偉い先生方もたくさんブロックされてるので、やっと並び立つことができました。”
”学会が盛り上がってよかったですw”等の返信や「またオレ何かやっちゃいました?」等の画像を投稿しており、別段問題ない雰囲気を醸し出していた。13
経過③:2023年3月26日 心臓血管外科学会への謝罪要求
2023年3月26日(日) 雑草こと後藤氏が自身の見解と心臓血管外科学会へ説明を要求する。14
詳説すると、①演者でもなくdiscussion に入れない、②事前に打ち合わせもない発言を③学会配信し、④さらに情報拡散を担うDrsがTwitterすることが問題です
紙谷先生や池野先生がプラスの意味で言おうがdis ているのかは本質ではありません
学会の公式企画であればそこをしっかり押さえて頂きたい
これについては最終的には学会の責任ですので、正式なコメントと不手際の謝罪を得意のTwitterで全員に示して頂かなければ収集つきませんので、宜しくお願いします
https://twitter.com/multitransplant/status/1639819359685148672(削除済)
経過④:そして炎上へ
2023年3月26日(日) 雑草氏の上記コメント、また前掲の池野氏のツイートから事情を察した医クラ周辺より炎上状態となる。
経緯④:2023年3月27日 セッション関係者の反応
2023年3月27日(月)当該セッションに関係した医クラの反応が見られた。関係者による謝罪とアカウント削除等の対応がとられた。
〇当該セッションに登壇していた福原進一氏(ミシガン大)15
特に、「イキり」と表現された部分についての言及が行われた。
ここに救急医Takaも引用RTで参戦。その引用RTの後、福原氏のアカウント「@fukuharaaorta」は削除された。16
〇Onyo心臓外科治療研究者
謝罪の後、”私なりのけじめ”としてアカウントを削除。17 18
〇紙谷寛之氏(旭川医科大学病院 心臓外科 科長)19
当該セッションにて雑草氏に言及した本人。
今回の件に関する謝罪、雑草氏に言及した意図などが綴られ、また同日をもってTwitterアカウントの削除が宣言され、アカウントが削除された。20
〇池野友基氏
前掲のブロック画像ツイートを削除した旨を発表。21
前掲の紙谷氏との出会いなどを一通り語った後、今回の件を謝罪。22
以上が一連の経緯となろう。また、雑草氏と心外クラスタとの間では過去に移植の順番に関わる等で意見対立のあることは観測しているが、本件とは直接関係ないためにここでは深堀はしない。
〇後藤氏の対応
3月28日に後藤氏から紙谷氏に宛ててリプライが送られている。(140文字以上のTwなのでリンクから確認されたい)23
雑草氏のコメントは紙谷氏にも伝わったようである。ここに一応事態の収束を見た。
教訓:今回の件を振り返って
さて、今回の騒動は”今回の企画は理事会で決まったものでもなく、プログラム委員会を通したものでもな”いとはいっても、心臓血管外科学会に対してネガティブなイメージを残してしまった事は否めない。
問題点としては以下が挙げられるだろう。
①学会に関係無い、その場にいない人物について取り上げTwitterで外部に宣伝した。
特に関係者にその意図が無くとも、当人に対して「その場にいない人物を揶揄した」という印象を第三者に与えた。特に、経過②にあげた池野氏の前掲のブロック画像ツイートとリプライ一覧の反応がターニングポイントで、第三者に対して「学会の場でその場にいない人物を揶揄した」というイメージを強固にした事は否めない。セッションの実況は関係者向けのツイートとして意識したものであろうが、鍵かけツイートでない以上は世界中に公開されているという自覚を持つことが望ましい。投稿前に関係者間で推敲することが望まれる。
②問い合わせ窓口・対応マニュアルの不在
雑草氏が3月26日に学会のアカウント宛てに問題提起するまで関係者間でエスカレーションされた痕跡がなく、SNSトラブルに対して中心となって対応する部門・人物が無い印象を受ける。SNS等で発信を行う場合には、事前に炎上した際の組織としての対応方法についてマニュアルなどで定めておくべきである。24
③インターネットに発信した情報は半永久的に残る
今回禊としてあっさりアカウント削除が行われているが、投稿した内容は消したら消えるわけではない。自身の投稿内容はインターネット上に半永久的に残ることを今一度自覚されるべきである。特に実名発信の場合、たとえ所属組織と関係のない個人の発言であっても、第三者には当人の所属と結びついて印象に残らざるを得ない。このリスクを強く再認識するべきである。
脚注
- 魚拓
- HPリンク
- HPより”チームWADAは海外で活躍する医師、看護師、薬剤師、その他さまざまな職種の情報をリアルタイムで発信するNPO法人です。”とのこと
- HP魚拓
- 魚拓
- 魚拓
- 魚拓
- 魚拓
- 本名は本人のnoteより。
- 魚拓
- 当該セッションの行われた心臓血管外科学会の開催が旭川だった。
- 現在は削除済み→魚拓
- 前掲のTw魚拓も参照。
- 当該Twは削除済み→魚拓
- ミシガン・メディスンHP
- 尚、Bioに記載されていた「本アカウント」なる英語Tw主体のアカウント@ShinFukuharaMDは健在である。
- 魚拓
- 本垢のみでの活動に切り替える、とのコメント通り@kenkyusha_cvsは健在である。
- 旭川医科大学外科
- 魚拓
- 魚拓
- 魚拓
- 魚拓
- PR TIMES MAGAZINE:広報PR担当者が知っておきたい、企業・団体の炎上対策・炎上時の対応方法について解説【危機管理広報】