※ワクチンデータ修正事件を簡単に振り返ると。
①厚生労働省が発表している「10万人あたりの新型コロナウイルスの新規陽性者」のデータについて、ワクチンを打った人の一部を「未接種扱い」にしていた。
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②ワクチンを接種した人を正しく分類すると、未接種者と2回目接種済みでは、感染予防効果が変わらないという話になってしまった。
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③後藤厚生労働大臣(当時)は2022年6月14日「率直にお詫びしたいと思います」と謝罪。
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④基となっていた「ワクチン接種歴別の新規陽性者数」資料を公表取りやめ(2022年9月)
- 修正前のデータからワクチンの有効性を宣伝する河野太郎と医クラ達(2022年4月)
- データ不備についてCBCテレビで報道される。(2022年5月)
- 報道に対する河野太郎と医クラの反応
- 河野太郎「データを直したとしてもワクチンの有効性が極めて高いことには何の変わりもありません。」(2022年5月29日)
- 河野太郎「HER-SYS情報の点検とアドバイザリーボードの議論の結果を待ちたいと思います。」(2022年6月6日)
- 救急医Takaこと木下喬弘 CBCテレビに怒り「存在価値がない。」
- 救急医Takaこと木下喬弘「もともと大したデータではない」
- 救急医Takaこと木下喬弘 「僕が厚労省の人間だったとして、データを改竄したいというモチベーションゼロ」
- 上松 正和 「2回接種の人が安心してハイリスク行動をとったから陽性率が高い」
- 岩田健太郎 神戸大学教授「「未接種」の人たちよりハイリスク行為を取るという交絡因子の可能性」
- 上松 正和 「官僚を責めるな」
- sekkaiこと山東典晃「retrospective データで議論しようと思うこと自体無意味」
- 西浦 博 京大教授 「4回目接種を進める上でとてもよくない」
- 「資料2-5全国の新規陽性者数等及び高齢者のワクチン接種率等」表の公表中止へ(2022年9月以降)
修正前のデータからワクチンの有効性を宣伝する河野太郎と医クラ達(2022年4月)
「10万人あたりの新規陽性者数」のデータ
首相官邸アカウントからの「10万人あたりの新規陽性者数」4を基にワクチン3回目接種を訴える河野太郎自由民主党広報本部長(当時)。5
元データは新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボードに提出されている資料
さて、首相官邸アカウントが引用している表6には基となるデータがあり
「第81回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード 事務局提出資料 表2-5 P3を基に作成」と記載があります。
元のデータを見てみましょう。
第81回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード(令和4年4月20日)
資料2-5が見えますね。
資料2-5 全国の新規陽性者数等及び高齢者のワクチン接種率等 のPDFを開き3ページを見ると
首相官邸アカウントが貼っている表と同じ数字が記載されています。
この「ワクチン接種歴別の新規陽性者数」から作成されたようです。
河野太郎Twに対する医クラの反応
好意的に捉えていました。
救急医Takaこと木下喬弘 ”これを政治家が言ってくれるのは本当にありがたいです。”7
救急医Takaこと木下喬弘 ”首相官邸のTwitterから有益な情報が発信されています。”8
埼玉医科大学総合医療センター 岡秀昭9
データ不備についてCBCテレビで報道される。(2022年5月)
初報は2022年5月末。
Yahooにも配信される。
報道に対する河野太郎と医クラの反応
河野太郎「データを直したとしてもワクチンの有効性が極めて高いことには何の変わりもありません。」(2022年5月29日)
【河野太郎のLIVE配信】たろうとかたろう 2022/05/28 にライブ配信分の57:30~から
「データを直したとしてもワクチンの有効性が極めて高いことには何の変わりもありません。」と言い切り。かなり強気です。
河野太郎「HER-SYS情報の点検とアドバイザリーボードの議論の結果を待ちたいと思います。」(2022年6月6日)
しかしその後、自身のブログを更新しトーンダウン。データについては認める10
さらに不思議なのは、このいずれの期間でも50-59の年齢階層では、全く反対に、未接種者の10万人あたりの新規陽性者数が、2回接種済者のそれを上回っています。
ワクチンの効果と厚労省のデータの謎
考えられるのは、ワクチンを2回接種したことで、感染へのおそれが小さくなり、より活動的になり、結果として感染してしまった人が多いのでしょうか。
しかし、それでは50-59の階層だけ、未接種者のなかで新規陽性者が多くなっていることの説明になりません。
3回目接種済者の中の新規陽性者数は、未接種者や2回目接種者のそれを下回り、ワクチンの効果が明確になっています。
しかし、65-69の年齢階層では、新規陽性者数が未接種者のそれを上回っていることに注意が必要です。
HER-SYS情報の点検とアドバイザリーボードの議論の結果を待ちたいと思います。
ワクチンの効果と厚労省のデータの謎
救急医Takaこと木下喬弘 CBCテレビに怒り「存在価値がない。」
もともとCBCテレビにはいい印象を持っていないようで、”本当に終わってますね。存在価値がない。”と怒り心頭のご様子。11
救急医Takaこと木下喬弘「もともと大したデータではない」
翌日には「元から大したデータではない」と切り捨て。12
最初は”有益な情報”って言っていたのに….
救急医Takaこと木下喬弘 「僕が厚労省の人間だったとして、データを改竄したいというモチベーションゼロ」
更に6月には同じ医クラのYoutubeに出演し
「僕が厚労省の人間だったとして、データを改竄したいというモチベーションゼロ」
「他のデータ、どれを用いても“コロナワクチンが効果がある”ということは証明されているので、無理くりワクチンが有効だみたいなデータ改竄をするメリットを感じない」
と擁護発言。
木下「最後に何個かアンチコメント紹介して終わりましょう」
上松「わかりました(笑)じゃあ厚労省のデータ改ざんについて。これが気になるみたい」木下「まあ改ざんとまで言えるのかっていうのは、まあそもそも難しい問題で、改ざんて意図的でないといけない。端的に僕が厚労省の人間だったとして、データを改ざんしたいというモチベーションゼロ、なんですよ。なぜなら他のデータ、どれを用いても“コロナワクチンが効果がある”ということは証明されているので、わざわざ無理くりワクチンが有効だみたいなデータ改ざんをするメリットを僕は感じないので、だからといって意図的にやっていないことの証明だと言うつもりはないけど、そもそも改ざんせなあかん問題ではないですよね。
ただpoorだったことは事実で、データの見せ方自体が不味かったというか、お粗末だったというのが一番表現としては正確かな。だったこと自体は事実で、厚生労働省は厚生労働省として改善するべきだとは思ってます。でもだからといって、じゃあ厚労省のデータがすべて間違っているとか、ワクチンが実は有害だったとかそういう結論になるわけないので、まあ、なんですかね、一つ厚生労働省はあまりよくないデータ管理をしました、それは反省が必要ですね、という話だと思います。」
最初に真面目に集計したら、感染予防効果が変わらないように見えるグラフができてしまった場合、混ぜこぜて効果のあるグラフに見せようとする、という動機が出るのは割と違和感がないと思いますが、皆さんはいかがですか?
後、発言中に救急医Takaの眼が割と泳いでいて面白いので、ぜひ上の動画を見てみよう。
上松 正和 「2回接種の人が安心してハイリスク行動をとったから陽性率が高い」
上松氏は前掲の動画で救急医Takaこと木下喬弘と一緒に映っていた人。
2022年の参議院選挙に国民民主党から立候補(比例代表)し落選した。13
さて、2回接種者が未接種者より陽性率が高い理由を下記のように説明しています。14
最初に、単純に数字を比較して接種を推奨したのは河野太郎と医クラなのにいったいなぜ….
尚、前掲の河野太郎のブログ内では、この接種者ハイリスク行動説について、”しかし、それでは50-59の階層だけ、未接種者のなかで新規陽性者が多くなっていることの説明になりません。”と否定されており、説得力に乏しい。
岩田健太郎 神戸大学教授「「未接種」の人たちよりハイリスク行為を取るという交絡因子の可能性」
接種者ハイリスク行動説は上の上松氏と同じロジック。15
ついでに、救急医Takaに「交絡因子ではなく媒介因子」であると突っ込まれていた。16
上松 正和 「官僚を責めるな」
更に、やる気を挫いて退職者を増やすだけ、というやや無理筋な感じの擁護。
厚労省が昼夜問わず激務なのは別の問題で切り分けて考える必要があるだろう。
救急医Takaが乗っかってお気持ち表明をしている。
ついでに本件は2022年5月20日 衆議院 厚生労働委員会において、国民民主党の田中健議員により質問されている。(3:50:00~)
答弁しているのはいつもの佐原康之健康局長
sekkaiこと山東典晃「retrospective データで議論しようと思うこと自体無意味」
sekkaiこと山東典晃氏 17
そのretrospective データで接種を推奨した救急医Takaさんと河野太郎批判かよ。厳しいな。
西浦 博 京大教授 「4回目接種を進める上でとてもよくない」
新型コロナウイルスアドバイザリーボード第86回(2022年6月1日開催)において、座長が出席を求める参考人として会議に参加した西浦博教授(@nishiurah)の発言。
議事録の12ページあたりから。18
(西浦参考人)
〇 資料2-4の2ページについて。少しメディアで取り上げられている話ではあるが、
これまでの接種歴不明者の取扱いの変更によって、予防接種済み、特に2回接種が済ん
でいる40代とか60代、70代の10万人当たりの新規陽性者数が、未接種者と比べると新規
陽性者数が多いという話が話題になっている。
これはいつもこの図をルーチンに機械的にアップデートしているために起こっている
のだが、このままだとあらぬ話がいろいろ進んでしまったり、あと、反ワクチンと考え
られているような、ワクチンの有効性に対して懐疑的な意見が広がることにつながって
しまうようなもので、4回目接種を進める上でとてもよくないものだと思う。これが起こっている原因は、HER-SYSの接種歴がしっかりしていない中で、それをその
新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリボード(第86回)議事概要 12-13頁
まま使ってしまっているということと、未接種者の人たち、あるいは2回接種が終わっ
た人たちのそれぞれの自然感染による感染歴をしっかり考慮できておらずに計算して
いること。
このままこれを出し続けるよりも、保健所で、例えば場所によっては接種歴に関して
きっちりと情報を取っているところがあると思うので、そういうしっかりと接種歴に関
してアサーテッドしたデータを利用して再度計算をし直さないと、全国のデータをこの
ままだけで出し続けているようでは批判に対応することができないのではないかと思
う。何らかの対処をしたほうがいいと思い、コメントした。(※注:太字化は弊ブログ)
「資料2-5全国の新規陽性者数等及び高齢者のワクチン接種率等」表の公表中止へ(2022年9月以降)
さて、この西浦アドバイスが効いたのかは不明ですが、第98回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード(2022年9月7日開催)以降、「資料2-5全国の新規陽性者数等及び高齢者のワクチン接種率等」という資料がひっそりと会議に提出されなくなり、結果として「ワクチン接種歴別の新規陽性者数」の資料は公表が中止されています。19
一般国民は現在、ワクチン接種歴別の新規陽性者数データを知る術がありません。